研究開発

在宅・遠隔医療、モニタリング機器:超小型モバイルOCT

PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)

当社では、眼科治療薬のほか、医療デバイスの開発にも力を入れています。

PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)とは眼科において網膜の状態の検査に用いられるOCT(光干渉断層計)の超小型モデルことで、モバイルヘルス(mHealth)(※1)を含む、在宅・遠隔医療分野での需要を見据えた在宅眼科医療機器ソリューションです。

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ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜血管新生による網膜疾患が対象で、患者が自宅で網膜の状態を測定する検査デバイスです。インターネットを介して、網膜の構造や視力の変化といった病状の経過を、医師が遠隔で診断できるシステムを確立することにより、個別の患者に適した眼科治療を実現し、視力の維持向上を目指します。

抗VEGF療法は血管新生を伴う網膜疾患に対する革新的な治療法です。しかしながら、病気の進行は患者によって異なり、来院した時が必ずしも適切な治療のタイミングになるとは限りません。また、「もう少し早く来院していれば、悪化を抑えることができたのに」といった逆のケースもあります。抗VEGF療法は、眼球に注射をするため治療を受ける患者には身体的負担であり、医療現場でも最適なタイミングで治療が行えることが望まれています。

定期的に通院することが難しくても、網膜の状態を日々検査できれば、適切なタイミングでの治療が可能になります。網膜の病気は自覚症状がわかりにくいため、こうした客観的な測定を日頃からしておくことで、治療しないまま重症化することを防げるものと考えております。

小型ハンドヘルドOCTデバイスと医療ソリューション

当社のモバイルヘルス開発の柱となる眼科医療機器ソリューションは、以下で構成される予定です。
1)患者がご自身で検査を行うための超小型OCT(※2)機能を含む小型ハンドヘルドデバイス(小型可搬型携帯デバイス)
2)クラウド(※3)にデータをアップロードするためのネットワーク機能
3)検査結果を解析するソフトウェア
4)医師および医療機関が解析されたデータにアクセスするクラウドサービス

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開発について

PBOSは研究倫理審査委員会(IRB: Institutional Review Board)(※4)より米国で臨床試験を実施する承認を取得し、2018年3月に臨床試験を開始しました。本臨床試験は米国内の1施設で実施します。約10人の健常者と約30人のウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫など血管新生を伴う網膜疾患患者を対象に、PBOSデバイスの試作機で網膜の状態を測定し、その精度と解像度を評価します。健常者グループは1日目と35日目、患者グループは1日目、30日目、65日目に測定あるいは安全性の確認を行います。

網膜の中でも視力を司る黄斑部の腫れなどの変性は、精密な断層像を得られるOCTを使って検査をします。この度の臨床試験では、PBOSデバイスの性能を評価するにあたって、健常者と黄斑の中心部に浮腫がある網膜疾患患者を対象に、網膜の厚みの計測における再現性と厚みの変化を捉える性能評価のほか、市販のOCTと比較し相関性についても評価します。本臨床試験から得られたデータを基に、試作機の性能改善を図り、小型モデルの製品化を目指します。

医療機器の開発は、臨床試験を通して医療機器としての安全性や性能を確認しながら、製品化に向けて改良を進め、上市の確実性が高いのが特徴です。同時に、第1相から第3相と長期に渡る臨床試験で仮説を検証する必要がある薬剤の開発と比べ、臨床試験も含めた開発期間は大幅に短くなることが期待されます。

※1 モバイルヘルス(mHealth)は、スマートフォン、ウェアラブルデバイスなどの携帯およびモバイル端末を医療行為、医療データ管理、診断、モニタリングなどに利用すること。

※2 OCT(Optical Coherence Tomography)は光干渉断層計であり、網膜の断面の構造を見ることができる装置。

※3 クラウドとは、データをインターネット上に保存することで、様々なデバイス(コンピューター、携帯電話端末等)から情報を取得することができるサービス。

※4 研究倫理審査委員会(IRB: Institutional Review Board)とは、医学・薬学の専門家と非専門家、医療機関や製品を開発する企業との利害関係を持たない外部委員から構成され、実施される臨床試験を科学的ならびに倫理的観点から審査し、被験者の権利と安全を守ることを主な役割とする審査委員会です。