目の病気

スターガルト病

遺伝性の稀少疾病

スターガルト病は患者数が少ない網膜の遺伝性疾患であって若年性の黄斑変性とも呼ばれ、8千~1万人に1人がこの病気にかかると推定されています(※1)。スターガルト病を発症すると徐々に視細胞が損傷され、視野の欠損、色覚異常、歪み、ぼやけ、中心部が見えにくいといった様々な症状が見られます。一般的に、小児期から青年期にかけて発症しますが、中には成人期まで視力低下を自覚しないこともあります。

病気のメカニズム

網膜には、脳に映像を認識させるために光を電気信号に変える働きをする「視覚サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。この視覚サイクルは、明るい光や強い光にさらされると 有害代謝産物を生成します。これが長期にわたり消化されないまま蓄積されると、視覚サイクルの働きに支障をきたすだけではなく、網膜自体が損傷され、視力低下あるいは失明に至ると考えられています。

網膜には、こうした有害代謝産物の前駆物質を分解する細胞に輸送する働きをするABCA4という遺伝子があります。スターガルト病はこのABCA4遺伝子の異常によるもので、網膜にビタミンA由来の有害代謝産物が過剰に蓄積され、網膜内の細胞が損傷し最終的には視機能障害をきたすと考えられています。スターガルト病の約95%が、ABCA4遺伝子の異常に起因することが報告されています(※2)。

認可された治療法がない

スターガルト病は、米国における患者数が推定で4万人に満たないことから(※3)、新薬開発を促進するためにFDA(米国食品医薬品局)が制定する「オーファンドラッグ法(※4)」の対象です。現在、症状の進行を抑制する治療法は存在しておらず、アンメット・メディカル・ニーズ(※5)として対応が急がれています。

※1 Retinal Pharma & Biologics Market, Market Scope 2015.

※2 National Eye Institute. https://nei.nih.gov/health/stargardt/star_facts. Retrieved July 2, 2016.

※3 Market Scope社が 2015年に発行した「Retinal Pharma & Biologics Market」と「UN World Population Prospects 2015」をもとに、米国、欧州、日本のスターガルト病患者数を自社で算出。

※4 オーファンドラッグ法:オーファンドラッグは稀少疾病用医薬品と呼ばれ、治療が困難な病気や患者数が少ない病気に対する治療薬のことをいいます。「オーファンドラッグ法」は病気を治療する医薬品の重要性に基づき研究開発が進むように、公的援助制度等を整備することを目的に米国FDAにより制定されました。米国で治療薬が存在しない疾患に対して患者数が20万人未満であること、開発コストが販売から回収される見込みがないことなどの基準が設けられている。

※5 アンメット・メディカル・ニーズ:いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ。