クボタメガネについて

ウェアラブル近視デバイス

当社では、ウェアラブル近視デバイスの開発にも力を入れています。 近視は、屈折性近視、軸性近視、偽近視、核性近視などに区分されますが、その多くは軸性近視と診断され、眼軸が伸長することによりおこるとされています。眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前に位置づけられるために、遠くが見えにくくなります。



スクリーンショット 2020-06-26 11.57.30.png

近視は、2050 年には、世界の約半数の人が陥ると予測されている疾患です(*1)。特に、日本を含む、中国、香港、台湾、韓国、シンガポールといったアジア諸国で近視が急激に増加しており、ソウルでは、19 歳の男性の96.5%が近視というデータも示されています(*2)。また、2019 年3月に文部科学省が発表した学校保健統計調査によると、小学生〜高校生の裸眼視力における 1.0 以上の割合が過去最低になったと発表されています(*3)。近視の進行により、緑内障視野障害、白内障、網膜剥離、黄斑変性などの疾患を合併するリスクが高まることも知られており(*4)、 強度近視患者の増加は、大きな社会課題の一つですが、未だ本邦で薬事承認を受けた治療法はありません。近視は、屈折性近視、軸性近視、偽近視、核性近視などに区分されますが、その多くは軸性近視と診断され、眼軸が伸展することによりおこるとされています。眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前に位置づけられるために、遠くが見えにくくなります。現在は、メガネやコンタクトレンズ、屈折矯正手術により、光の屈折を矯正し、焦点を網膜に合わせることが一般的であり、眼軸長を短縮させるような根本的な治療法は見つかっていません。

*1 Holden BA, et al. Ophthalmology.(2016)
*2 Elie Dolgin(2015)『The Myopia Boom』(Nature)
*3 文部科学省 平成 30 年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について
*4 Flitcroft D.I. The complex interactions of retinal, optical and environmental factors in myopia aetiology. Progress in Retinal and Eye Research 31 (2012) 622660

スクリーンショット 2020-07-01 15.17.27.png

クボタメガネテクノロジーは、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行の抑制、治療を目指す当社独自のアクティブスティミュレーション技術です。網膜に光刺激を与えて近視の進行の抑制、治療を目指す技術は既に実用化されており、米国では CooperVision 社の「MiSight® 1 Day」という製品が近視抑制効果があるとして米国食品医薬品局(FDA)より認可を受け、販売されています。これらの製品は、多焦点コンタクトレンズの仕組みを応用し、自然光をぼかして網膜周辺部に刺激を与えることで、単焦点コンタクトレンズと比較して、近視の進行を抑制することを証明したコンタクトレンズです。一方、当社グループの「クボタメガネテクノロジー」は、この理論的根拠をもとにナノテクノロジーを駆使してメガネに投影装置を組み込むことで、自然光をぼかすことなく、直接一番効果的な映像を網膜周辺部に投影することを実現し、先行品よりも短時間の使用でより自然な見え方を維持しながら、高い近視抑制効果を実現することを目指しています。なお、詳細なデータに関しましては、論文にて発表予定です。

KubotaGlass.png

当社では、2020年5月に21歳〜32歳の被験者12名(アジア人7名・白人4名・ヒスパニック1名、男性9名・女性3名、球面屈折異常-3.5D〜0.0D)に対し、アクティブスティミュレーションを用いた試作機である卓上デバイス(写真①)にて、眼軸に与える影響を検証した結果、対象眼と比較し眼軸長の短縮を確認しました。2020 年8月にはウェアラブルデバイス(写真②)を用いた臨床試験において、被験者の網膜に 1 日数時間の網膜周辺部へのぼかした像の投影(myopic defocus stimulation)で眼軸長(角膜から網膜までの長さ) が対象眼と比較して短縮するという結果が得られ、POC(Proof of Concept:概念実証)が確認されております。 この結果を踏まえ、当社グループでは「クボタメガネ」の商業化に向けてプロトタイプの開発を進めております が、この度その初期型のプロトタイプが完成いたしました(写真③)。

今後の開発計画につきましては、人工的な光刺激を網膜に与える時間や期間を変更することにより、「クボタメガネ」が眼軸長に与える影響を中長期的に検証すると共に、製品デザインの改良、医療機器としての製造販売認証申請のための臨床試験等を行う予定です。

通常、眼軸長は、年齢と共に伸びる、もしくは成長が止まるものであり、人工的な光により眼軸長が対象眼と比較して短くなるということは、世界でも前例がありません。 今後は、クボタメガネテクノロジーをスマートコンタクトレンズにも応用し、実用化を目指していきます。スマートコンタクトレンズの開発タイムラインについては、現段階では公表できません。クボタメガネテクノロジーは、将来的には、AR機器、VR機器へ応用し、子供の近視予防への応用が期待されています。